当院の「痛み」に対する方針
当院は、歯科治療の際に痛みを感じにくい治療を行っております。
実際に治療を受けた患者さんから「もう終わったの!?」と驚きの声をいただくと嬉しく思います。ほぼ80%の方が痛みを感じなかったと満足してくださっています。
しかしなぜか「歯科医院=痛いことをする所」というイメージをもっている方がいらっしゃるようです。きっと以前歯科医院に通って治療を受けた際の経験からくるのかもしれませんが、歯科医師としては、とても残念に感じます。
治療の際に生じる痛みをできるだけ少なくするためには、歯肉への歯科麻酔を行うのですが、患者様の中には「麻酔の注射が痛いから嫌だ」と言う方も多数いらっしゃいます。そのため当院では以下のようなことに配慮し、診療を行っております。
十分な診療時間を取る
痛みを少なくするためには余裕を持った診療時間の確保が重要です。
今まで歯科医院で治療の際に痛みが強かったという方の多くは、麻酔がしっかりかかる前に歯を削るなどの治療が始められてしまっていたのではないでしょうか?
歯科麻酔は、注射を打ってすぐに効果が現れるものではありません。注射の針を刺した部分からゆっくりじんわりと組織に麻酔液が広がり感覚がなくなっていきます。
各ステップが重要となるため、急いで短時間に治療を行いたいという方には、麻酔で痛みを抑える治療を行うことができません。
上記のことから、当院では患者様に「十分な治療時間の確保」へのご協力をお願いしております。
麻酔注射を工夫する
麻酔の注射ひとつをとっても、できるだけ痛みを与えないテクニックというものがあります。
細い針を使用
まず、器具です。針は細ければ細いほど痛みを感じません。当院では、現在販売されている針で一番細い33G(ゲージ)を使用しています。通常の歯科医院では30Gを使用することが多いので、3段階細くなっています。
ストレスの少ない注射器
当院では麻酔液の入るスピードを自動でコントロールしてくれる「アネジェクト」という注射器を使用しております。
麻酔がうまい(痛みが少ない)ドクターというのは、ゆっくり一定のスピードか、もしくは気づかないほどの微細な変化で注入速度を速めていける技を持っています。しかし従来の歯科医院の注射器では、かなり握力がいる設計になっていたため、力が入りすぎて麻酔液が急激に入ってしまい、痛みを強めていることがありました。
「アネジェクト」はコンピューターによる制御で、“注射開始から注入速度が緩やかに上がる”という理想的な速度で麻酔を行うことができます。歯科医師にとっても、力いらずで理想的な注射器なのです。
麻酔注射を打つ前に、表面麻酔を行う
表面麻酔は、メインの麻酔注射の針を打つ箇所の表面に麻酔をかけることで、針挿入時の痛みを少なくします。
表面麻酔にはスプレータイプやジェルタイプのものがあります。これらを行うことで、チクッという痛みを感じることがなくなります。
麻酔液を体温に近い温度に近づける
麻酔の液が入った小さなビンを、注射の直前に歯科医師が握って暖めているのを見たことがありませんか?あれは、できるだけ体温に近い温度にすることで、冷たい液が入ってきた!と神経が興奮することを防ぐことを目的としています。
当院では、しっかりと体温に近い温度に設定をしてから注射を行っています。
リラックス
どうしても麻酔が効きにくいという方の中には、治療や麻酔自体に恐怖心を持っている方・緊張を感じすぎる方などが挙げられます。特にこのような方は、リラックスしてもらわなければなりません。
しかし、歯科医院のいすに座って、口を開けてリラックスできるという方は当然いないのです。
人は痛いかも!?と痛みに対して疑心暗鬼になった状態でいると痛みを感じやすくなります。これを痛みの閾値の低下といいます。緊張した状態では痛みの閾値は低下してしまうのです。誰もが緊張するのです。不安なこと、心配なことはスタッフや歯科医師に伝えてください。
もちろん、無理やり治療を行うことはありませんし、不安なことを言葉としていただけると、共有することができ、お互いに信頼関係を築くことができます。
リラックスをするために必要なのは、コミュニケーションを通した信頼関係です。安心して治療を受けることができるようにしっかりお話を伺い、治療を進めていくことを心がけています。
痛みや炎症がひどい場合は、炎症を抑えてから治療を進める
痛みや腫れなどの炎症がひどい際は、どんなに治療をしたくても麻酔が効かないのでお勧めできません。
「痛いのにどうして治療してくれないの!?」と感じてしまうかもしれませんが、まずはお薬を飲んでいただき、軽い処置を行い炎症が引いたころに来院していただき治療を進めています。
患者様へのお願い
歯の治療は、先延ばしにしないでください。
気がついた時に理想的な環境で治療を行うことで、少ない痛みで治療でき、予後の良い治療となります。
そのため、当院では「定期検診の習慣化」を患者様にお願いしております。
日ごろ歯科医院に通院することで、歯科医師との信頼関係を持つこともでき、虫歯は痛みの小さいうちに発見することができます。通いなれた歯科医院での治療であれば、リラックスをして受けることもできるようになってきます。お口のことで少し気になることがある程度でもかまいませんし、クリーニングを受けたいということでもかまいません。定期的に歯科医院に通う習慣を作ってください。
その習慣が、もしも大きな虫歯をつくってしまっても、治療の際には、麻酔を使った治療がより効果的に行えるベースとなります。